生き物の危機
関ヶ原の畑に通うようになって、
今年で5回目の春を迎えます。
初めは植えた樹々の様子を見に行っていた
はずが、いつの間にか足元の様々な野草、
昆虫、鳥、田んぼや小川の生き物に
目が向くようになっていました。
ところがここ数年、里山の生き物が
目に見えて減ってきています。
虫や鳥、在来種の野草までも。
野カンゾウの芽吹き
たとえば、昨年の春は2年前の春に較べ、
蝶がぐんと減りました。以前はいつ
行っても、絶えず2~3匹の蝶々が
入れ換わり立ち換わり畑に飛んで
来てシャッターを押すのが大変
でしたが、昨年は「アッ、蝶が
飛んで来た!漸く」と数える程しか。
道端では、野薊が刈られて減り、
2年前は蝶が花粉だらけになって
花の蜜を吸っていましたが、
昨年は蝶が少なかったからか、
秋になって種を採ろうとしたら、
枯れた花の半分以上に、種が入って
いないのにびっくりしました。
以前にはなかった事です。蝶が減って
受粉出来ていないのです。昨年は
自宅の鉢植えに初めて咲いた野薊も、
秋になって、喜んで種を採ろうとしたら
出来ていなかったので、がっかりでした。
ここにも蝶は殆どいません。
野薊の芽吹き
事務所近くの小川からの溝周辺に絶えず
飛んでいた羽黒トンボも、一昨年前から
姿を消してしまいました。
関ヶ原の畑では、夏、どこにいても
絶えず聞こえてきていた鶯の鳴き声も、
昨年は滅多に聞けませんでした。
野草もここにきて在来種がどんど
ん減っています。
どこの畑や田んぼからも減ったのは、
彼岸花。
今年特にひどく減っているのがツクシ。
母子草やオオバコ、仏の座、キランソウ等の
背の低い在来種も随分減ってしまいました。
母子草の芽吹き
これらは畑やたんぼの畔に咲いたり
出たりしています。今までは兼業農家
さんが行っていた草刈りを、農業の
大規模化により、ここ数年で、
企業等の組織が、何件分もまとめて
田んぼや畑の世話と一緒に行うように
なりました。大型機械で
地面ギリギリまで刈るので、小さな
草は生き残る事が難しくなりました。
堤防の野草も行政によりどんどん
刈られています。防草シートも
増えています。
蛇イチゴの芽吹き
草地が年々減っていく中で、在来種が
減る代わりに増えているのが外来種です。
種が多くて、強い繁殖力のあるハルジオン、
ヒメジョオン、セイタカアワダチソウ。
メリケンカルカヤ、洋種ヤマゴボウなどは
増える一方。
先日自治体の方に野草の在来種をもう少し
大切にできたらとお伝えしたら、空から
わざわざ農薬を撒いてカメムシを退治して
いるのに、畔の草を残したら
カメムシがそこに逃げ込むと言われて
しまいました。
でもカメムシが一匹残らず死ぬように
農薬を撒いたら、その時は、
バッタやトンボ、カエルなど全ての
昆虫や両生類が死んでしまう時だと
気づいてほしいのです。
そうなれば当然、虫を食べる鳥も
いなくなります。
既にカエルやオタマジャクシが殆どの
田んぼにいません。夏に田んぼの間の
道を歩いてもシーンとして、一匹も
カエルの鳴き声が聞こえないのは、
自然が余りにも頼りなくてやせ細って
しまって寂しい限り。
一昨年前までは、ミツマタこうぞの
黄色の花が咲くと、沢山飛んで来ていた
ミツバチや熊蜂も、こうぞの花は今年も
満開なのに、1匹も花の廻りに
飛んでいません。
ミツマタ楮の花(廻りの囲いは雪よけです)
自然の生き生きしていない所で、
人だけが生き生きと生活できるので
しょうか?
2023年3月21日